Mailmagazine
しゃちょ。のメルマガジーヌ編集後記
2018.05.12
どーも。オジコのしゃちょです。
自宅で落ち着く暇もなく、
金沢→豊橋→永田町→新宿と動きまして、
先程、宮崎県都城市に入りました。
久しぶりに来たなあ、都城。
美味しいお肉と芋焼酎で英気を養います。
普段からほとんどニュースを観ないので、
世の中の流れや時事ネタに、
自分の方からついていっていないのですが、
絵本作家の加古里子先生がお亡くなりになった。
との哀しいニュースをたまたま目にしました。
心からお悔やみ申し上げます。合掌。
個人的に加古里子先生といえば、
もう10年以上前にもなりますか、
椿(つばき。娘。中3。)が保育園の表現会で、
お世話になった記憶があり、
確か、その表現会の模様を、
このメルマガの前身のメルマガで書いたよなあ。
と、セピア色した記憶や郷愁に誘われ、
パソコンに保存している過去のメルマガアーカイブを、
夜な夜な30分くらい探索してたら、
ようやっと発見できたので、以下に抜粋しようかな。
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今回は、来る12月8日に開催される、
椿(つばき。娘。4歳2ヶ月。)の表現会のお話を。
で、やっぱり、表現会といって思い出すのは、
ちょうど2年前の「ゆりさんの誕生会」。
涙なしには語れない「ゆりさんの誕生会」。
こちらも当時のメルマガから以下に抜粋。
【ゆりさんの誕生会】
寒い風が吹き荒れた土曜日、
お店を抜け出して行って参りました保育園の表現会。
椿(つばき。娘。2歳。)の出番は、
「ゆりさんの誕生会」というお話。
話を要約いたしますと、
ゆりさん(保母さんです)のお誕生日に、
いろんな動物たち(園児)が、
いろんな果物をお土産に持ってお誕生日会に行き、
ゆりさんとお誕生日ケーキを一緒に作って食べる。
という、よくできたストーリー。
しかし、僭越ながら、
話の筋なんてものは、実際どうでもいい話で、
親として、非常に気になるのが、
「ウチの椿は何の動物を演じるのか?」
という、ただ一点のみ。
表現会前夜、私は思い余って、
「つばちゃん!何の動物をするの?」
と、堪えきれずに彼女に聞いたところ、
「ウサギさーん!」と、元気いっぱいに答え、
私の前で、ぴょんぴょん跳ねまわって、
見せてくれるじゃありませんか。
これが何ともかわいい。
娘ということを差し引いても間違いなくかわいい。
重度の親バカだろうが関係ねえ。
かわいいんだからしょーがない。
「ギャラリーの視線を一身に集めるヒロインは、
ウチの娘に決定だな、こりゃ。」
と、思わず頬が緩んでしまいました。
で、当日。
先だっての運動会の時と同じく、
園長(男。40代。柔らかい物腰。)の甘いお話があり、
3~5歳児の歌があり、
プログラムはあっという間に進んで、
ついに待ちに待った「ゆりさんの誕生会」!
幕が開いて、森の妖精(保母さん)が出てきます。
「今日は、ゆりさんのお誕生日!」
「みんなでお土産を持っていこうねー!」
なんてなことを森の妖精がおっしゃいます。
「まずは、ぴょんぴょん跳ねるウサギさんからー!」
と、続いたところで私は、
「おいおい、いきなり、ウチの椿の出番じゃねーか!」
と、緊張も最高潮。胸の鼓動が高鳴ります。
すると、森の妖精が、
私の緊張もまったくお構いなしに、
「ほのちゃんウサギさーん!」だって。
間髪入れずに、
きっとほのちゃんであろう女の子が、
かわいいウサギの耳を付けてぴょんぴょん跳ねてくる。
その可愛さに、私を除く他のギャラリーの皆さんは、
「かわいい!かわいい!かわいい!」の大合唱。
「おーい!森の妖精!ふざけんな!」
「早く、つばちゃんウサギを呼びなさいっ!」
と、私は、はやる気持ちを押さえることが出来ません。
しかーし、森の妖精は、
私の願いも、まったくお構いなしに、
「けんちゃんウサギさーん!」
「あおちゃんウサギさーん!」
と、あえてウチの椿の名前を、
避けているかのようじゃありませんか。
そうこうしてるうちに、
ウサギチームが終わり、
イヌチームもカエルチームも終わり、
ゾウさんチームの順番。
そういえば、椿は数日前、
「のし、のし、のし、のし。」
なんて、ハイハイしながら仕事帰りの私を、
玄関まで迎えにきてくれたこともあったよなあ。
でもそれも、その日限りの話で、
その後、華のあるウサギを演じる心地よさを覚えたのか、
「のし、のし」の演技よりも難易度の高い、
「ぴょんぴょん」を演じることに役者魂を揺さぶられたのか、
ゾウさんには、まったく興味が無くなった様子。
それっきり、私の再三の、
「つばちゃん、ゾウさんやってよ!」
にも、決して首を縦に振ることはなかった椿。
そのゾウさんを、本番で、
まさか、まさか、まさか、まさか。。。
私の悲痛な祈りもまったくお構いなしに、
森の妖精が、「今度は、ゾウさーん!」
「のし、のし、のし、のし、歩いてこれるかなー!」だって。
「頼む!森の妖精!」
「つばちゃんにゾウさんだけは、やめてくれ!」
と、心の中で森の妖精に哀願する私。
しかーし、嫌な予感はやっぱり的中。
「つばきちゃん、ゾウさーん!」
と、森の妖精が呼びかけると、
ウチの最愛の娘が知性のかけらも感じられない、
エレファントブルーなサロペットを着用して、
不本意だろうゾウさんの長い鼻が付いた、
すっとこどっこいなブルーの帽子を被り、
舞台の袖から、
「のし、のし、のし、のし。」
「のし、のし、のし、のし。」
「のし、のし、のし、のし。」
「のし、のし、のし、のし。」
生憎、私は涙が邪魔をして、
娘の勇姿をしっかり見ることが出来ませんでした。
もっと言わせて頂くと、気持ちが混乱してしまって、
その日の出来事をよく覚えておりません。
舞台を所狭しと「ぴょんぴょん」
跳ねたい気持ちを押し殺して、
「のし、のし、のし、のし。」なんてさ。
で、私の涙もお構いなしに森の妖精が、
「つばちゃん、ゾウさん!」
「今日はどこに行くの?」
すると椿は、
不本意なゾウさん姿を少し恥ずかしそうにして、
しかし、気丈に振る舞って、
蚊の鳴くような声で言うには、
「ゆりさんの、たんじょうかい。」
私は、その言葉を聞いた瞬間、
回り灯篭のように色んな思いが込み上げてきて、
不覚にもゾウさんの帽子を被せられた時の椿の気持ち。
ほのちゃんウサギが大喝采を浴びているのを、
舞台の袖で聞いている時の椿の気持ち。
ゾウさんでありながらも台本を無視し、
ぴょんぴょん跳ねることも出来たのに、
気持ちを押し殺してゾウさんに徹した役者根性。
ゾウさんとしては心の底から行きたくないだろう、
ゆり氏の誕生会に今から行くと答える椿の不憫な思い。
みなさん、すみません。
熱くなりすぎて、これ以上、メルマガ書けません。。
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という伝説のゆり氏の誕生会から、
ちょうど1年後の昨年の表現会では、
難易度の高い「雨」の役を華麗に演じ、
私たちに強烈な印象を残してくれた椿。
定まった形状のない雨という液体を、
完全に自分のものとして、
表現することに成功した椿の演技は、
ただただ、感嘆、賞賛するだけでありまして、
女優フランシス・マクドーマンドに匹敵するだろう、
渋みのあるその名演は永遠に語り継がれることでしょう。
あれから1年。こうなってくると、
彼女の、もはや凶器に近い演技力は、
更に未知なる進化を遂げ、我々芝居好きの期待を、
遥かに凌駕するレベルに達しているに間違いございません。
「ぞうさん」、「雨」と2年続けて、
見事に演じきった個性派女優、椿。
今年は、どんな大役のオファーがあったとしても、
何ら臆することなく、己の女優像を追い求め、
眼前に広がる進むべき道を、
ただひたすら真っ直ぐに邁進するのみ!
私)「つばちゃん。今年の表現会は何するの?」
椿)「えーっとね。教えない。」
私)「いいじゃない。お父さんにだけ教えてよ。」
椿)「やだよ。」
私)「わかった。シンデレラとか白雪姫とか、
お姫様をするって言うのが恥ずかしいんだろ?」
椿)「そんなんじゃないよ。」
私)「じゃあ、教えてよ。誰にも言わないからさ。」
椿)「絶対、誰にも言わないでよ。」
私)「約束する。絶対、誰にも言いません。」
椿)「仕方ないなあ。じゃあ、お父さんにだけ教えるよ。」
私)「ありがとう。で、何よ。今年は何するんよ?」
椿)「えーっと。えーっと。耳貸して。」
と、もったいぶる椿の求めに応じ、
彼女の口元に私の耳を持っていくと、
可能な限りの小さなヒソヒソ声で発した言葉は、
なんと、なんと、なんと、
椿)「タガメ。」
!!!
おいおい、つばちゃん!
タガメって、水中にいるあの昆虫のことかいな!
前述のフランシス・マクドーマンドはもちろん、
ヘレナ・ボナム・カーターやソーラ・バーチ、
ジュリアン・ムーアやホリー・ハンターも、
余裕で蹴るだろうこのタガメのオファー。
しかーし、個性派女優の道を突き進む彼女にとっては、
願ってもない役どころ!
この田んぼや小川に住む、
獰猛な水棲昆虫を見事に演じきれば、
来年、再来年のアカデミーまで見えてくる。
私)「で、つばちゃん。
タガメが出てくる話って何のお芝居よ?」
椿)「おたまじゃくしの101ちゃん!」
私)「おいおい。まぢかよ。
そりゃ、加古里子先生の名作中の名作だよ!」
いいなあ、101ちゃん。
涙あり、感動あり、
ザリガニとタガメの大決闘ありの、
絵本史上に燦然と輝く一大スペクタクル。
お話の中でのタガメは、
お母さん蛙を食べようとしてザリガニと決闘し、
結局は、おたまじゃくし達に、
ボコボコにやられて死んじゃう、
典型的な悪役なのですが、
そんなこたあ、知ったこっちゃねえ。
ザリガニどころか、お母さん蛙もおたまじゃくしも、
「つばちゃんタガメ」に近づく奴は全員、
ボコボコにやっつけてやってちょうだい!
脚本なんて無視して結構。
「つばちゃんタガメ」の恐ろしさを、
関係者全員のハートに刻んでやれ!
と、私の方が熱くなってしまうのは、
タガメの娘を持つ親としましては、致し方ございません。
で、その翌日。
保育園から帰ってきた椿が私を見るなり言うには、
椿)「お父さん。つばちゃん、タガメじゃなくなった!」
私)「え。え。なんでよ。」
椿)「よくよく、話を聞いたらタガメは死んじゃうんだって。
つばちゃんは、そんな死ぬ役なんてやるのイヤだから、
おたまじゃくしとアメンボの2役をするんだあ。」
私)「そんな自分勝手な。じゃあ、タガメは誰がやるんよ?」
椿)「はせがわしゅうさく君。」
。。。。。
というわけで、ホントにすまん。
はせがわしゅうさく!
ウチの娘のわがままを許してくれ、しゅうさくよ!
そして、
ザリガニとの決闘で、
大いに死んでくれ!しゅうさくよ!
おたまじゃくし達の猛烈な波状攻撃で、
心置きなく散ってくれ!しゅうさくよ!
というわけで、
死の淵から見事に生還した「つばちゃんアメンボ」♪
12月8日の表現会が楽しみですが、
どうも手帳を見る限り、当日は東京出張中。。
こうなりゃ、なんとかして録画のVTRを手に入れ、
「つばちゃんアメンボ」のかわいい歌声とキュートなダンス、
「しゅうさくタガメ」の悲惨な散りっぷりを、
見届けないことには年が越せません。。
以上、2007年11月発行、
アッシュのメルマガジーヌ#129から一部抜粋・加筆。
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というわけで、
今回の編集後記は加古里子先生に捧げます。
先生ありがとうございました。
心からお悔やみ申し上げます。