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しゃちょ。のメルマガジーヌ編集後記
2016.02.28
どーも。オジコのしゃちょです。
安めのチェーンの寿司屋のカウンターの端っこで、
1皿150円の真あじの握りをつまんでいると、
と、ここまで勢いで書いてみて自分の表情が曇るのは、
初っ端から「の」を連発しているなあ。。ということ。
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む
と、小気味よく「の」を続けた柿本人麻呂は、
さすがに歌聖と呼ばれるだけのことはあるよなあ。
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の。かあ。
なんとも流れるような軽やかなテンポ。
これぞ声に出して読みたい一句。
素晴らしい。100点!
翻って、今回の私の出だしは、
安めのチェーンの寿司屋のカウンターの端っこで。
おいおい、なんだこれ。。
人麻呂と同じく「の」が並んでんだけど、
全くへなちょこで情けない限りのヘボ文章。0点!
と、あまりの酷さに一気に書く気が失せました。。
でもまあいいや。
ただのTシャツ屋と稀代の歌聖を比べる方がおかしい訳で、
あんまり気にせずヘボでもいいや。続けましょう。
で、真あじ、イクラ、かっぱ巻きと渋く繋いで、
ほっと一息、熱いお茶を飲んで店内の様子を見やると、
どうもこの店、オペレーションが良くないねえ。
カウンターの中にいる二人の寿司職人の連携が、
見習い時代からの犬猿の仲なのか、
お金の貸し借りで揉めてるのか、激烈にぱっとしない。
私の隣の親父が「紋甲イカひとつ。」とオーダーすれば、
「へいよ。」と声高らかに職人Aが紋甲イカを握りはじめ、
それと同時に隣の職人Bも「へいさ。」と紋甲イカを握る。
ちょっとちょっと、その紋甲イカ被ってんだろーよ。
と、思わず声が出そうになりますが関係ねーや。黙っとこ。
そんでもって、二人の寿司職人と、
ホール係のバイトのフンさん(アジアからの留学生)との連携も、
なんだかなあ、著しくぱっとしない。
部外者で余所者の私が言うのもなんですが、
寿司職人の二人は握ることだけに集中すればいいのに、
職人Aは握りと握りの合間に、
カラオケのデンモクみたいな機械を手に持って、
えーっと、えーっと、鉄火巻き、鉄火巻き。
なんつって、もたもたオーダー入力までしてるから、
溜まりまくってる握りのオーダーが一向に消化できない。
しかも、私が思うに、
職人Aがもたもた入力してるその鉄火巻きは、
ちょっと前にフンさんが受けたオーダーで、
もうデンモクにはフンさんが既に入力済みなんだよなあ。。
いかんともしがたいなあ。お手上げだなあ。
ってなわけでこのお店、二重オーダー連発は序の口で、
新規のお客さんも不思議とどんどん入店してくるもんだから、
もうホールとカウンターがハチャメチャのカオス状態。
不謹慎にも内戦が泥沼化して収拾がつなかい、
シリアの現状を思い起こしてしまいました。
職人Bがせっかく握り切ったまぐろ尽くしセットを、
だいぶ待たせてるテーブル客に早く運べばいいのに、
フンさんがレジのジャーナル交換に入っちゃって、
鮮度が心配になるくらいカウンターに暫く放置だわ、
ちょっと前に鉄火巻きを注文したお客さんの、
「おい!鉄火巻きは2つも要らねーんだよ!」の怒声は飛ぶわで、
このカオスはどうにもならんね。国連も止められない。
極め付きは、かなり急いでる風の四十代後半の男が、
生ビールと十貫握りセットを注文したところ、
生ビールはまずまずのスピードで出たんだけど、
本命の十貫握りが、待てど暮らせど出ない。
出る気配すら全くないこの感じ。
すまんけど、私は神に誓って断言できる。
「こいつの十貫握りは一生出ない。」と。
この状況下、私が件の四十代後半男なら、
「ごめんなさい。時間無いんでもう帰ります。」
と、肴も無いのにグビッと飲んじまった生ビール代だけ払い、
そそくさと退店するんだろうけど、その男は違う。
底なしのイライラから生じる貧乏ゆすりが、
途轍もない具合になっちゃって、オラもう我慢できねえ。
「おっせーよ!十貫握りは持ち帰りにしてくれ!」と絶叫。
さっき脱いでハンガーに掛けたばかりのコートに、
また袖を通して席を立ちレジの前で仁王立ち。
そしてレジ前で苦虫を噛み潰しながらのスタンディング貧乏ゆすり。
「誠にすみません。。」と職人Aが消え入りそうな声で謝罪して、
猛烈なスピードで十貫握りをにぎにぎスタート。
記録的なハイペースで握られる十貫握りが完成する寸前、
今まで何処にいたのか知りませんが、突如現れたフンさんが、
デンモク片手にレジカウンターに滑り込み、
「お待たせしました。えーっと、生ビール1杯540円。」
「それと十貫握りはキ・ャ・ン・セ・ルなんで、お会計は540円!」
それを耳にした瞬間、顔がみるみる紅潮。
血管を破裂寸前まで浮き出させた四十代後半の男が、
店内に響き渡る怒鳴り声でひとこと。
「キャンセルじゃねーよ!!!」
それを聞いた職人Aが顔面蒼白でひとこと。
「フンさんっ!キャンセルじゃねーよ!!!」
それを聞いてた職人Bが私の目の前で小声でひとこと。
「キャンセルじゃねーよじゃねーよ。」
で、最後に私が、ちっちゃい声でひとこと。
「キャンセルじゃねーよじゃねーよじゃねーよ。」
まあ、この一部始終を拝見した私がジャッジするならば、
この件に関して、お店側はひとつも悪くありません。
怒りに任せて潔くキャンセルすればいいものを、
多種多様な十貫握りの抗えぬ魅力に屈してしまい、
往生際悪くテイクアウトを選択した、
四十代後半男の完全なる凡ミス。
どうしても寿司を食べたかったんでしょうね。
ホント、キャンセルじゃねーよじゃねーよ。
この局面、答えはひとつ。テイクアウトじゃねーよ!
さてさて、どうでもいい話が長くなりました。。
気付けばもうすぐ3月。
いよいよOJICOの季節が到来です。
春夏の新作ラッシュ。どうぞご期待くださいね。
いつもありがとうございます!