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しゃちょ。のメルマガジーヌ編集後記

#282マスター

どーも。オジコのしゃちょです。

「最後の1つは絶対残しておいて!って言ったのに。んもうっ!」

唐突ですが、
ここ3日間連続で通ってる喫茶店がありまして、
お店の雰囲気、マスターの人柄、何を食べても旨すぎるランチ、
と、そのすべてがもう泣けてくるほど最高なのであります。

マスターは如何にも喫茶店のマスターといった風貌で、
細身、黒エプロン、ちょび髭、メガネ、50代と五拍子揃い、
誰もが求める喫茶店のマスター像と寸分の狂いなく一致。

例えるなら、あだち充先生の漫画に出てきそうなイメージなんですが、
とはいっても、喫茶店南風のマスター(浅倉南・父)とは、
また、似ても似つかない感じでありまして、
なんともかんとも言葉で伝えるのは難しいのですが、
その人の容姿、風貌で職業を当てるゲームがあるとするならば、
解答者全員が一斉に「喫茶店のマスター!」と大正解するだろう、
果汁100%の喫茶店のマスター顔。どうしたってゲームにならない。

あえてこちらからマスターに気さくに話しかけ、
得意のトークでマスターと仲良しになるのは不粋であると考え、
オーダー時とお会計時のみのコンタクトで、
なんとかマスターに私のことを覚えてもらい、
常連の末席にでも置いてもらおうと画策して3日目の本日。

「オーダーは何にする?」
「じゃあ、今日はハンバーグで。」
「ハンバーグね!了解!」

私、ここ2日間はエビピラフ、ハヤシライスを頼んだのですが、
連日、他の常連達がこぞってハンバーグを注文するのを見聞きし、
この店の看板メニューはもしかしてハンバーグなのではないか。
という軽い疑念を晴らす為、ここは一発、朝から決めてたハンバーグ。

で、待つこと10分。
出てきたハンバーグを箸で割ると肉汁じゅわー。
お口に運ぶと、なんじゃこりゃ。超うまい!

ヘイヘイ、マスター!
このハンバーグこねすぎだよっ!旨すぎだよっ!

前夜、店を閉めてから合挽ミンチを俵型に整え、
くちゃくちゃくちゃくちゃこねること6時間。
愛情を隠し味に完成するマスター十八番の手こねハンバーグ。
こいつに比べると一昨日食べたエビピラフは、こどものおもちゃ。
出来ることならば一昨日に戻って、エビピラフを即刻返品したい!

なーんて、愚にもつかない亊を想起して、
激旨手こねハンバーグを感涙に咽びながら食べてると、
あれれれ。と気付いた。

明らかに私のサラダの量が他のお客さんより多い!
他のお客さんのサラダには付いてない輪切りのゆで卵が付いてる!
ランチに付くデザートは昨日までコーヒーゼリーだったのに、
そして今日も他のお客さんは平常通りコーヒーゼリーなのに、
なんと私のデザートだけ、なぜか旨そうなワッフルで、
しかもそいつにアイスが乗ってラズベリーソースが掛かってる!

メイン料理が違うのは、
お客さんそれぞれ注文が違うから当然なのですが、
同じであるはずのメインに付属するサラダとデザートが全然違う!
もうインドとインドネシアくらい違う!
オーストリアとオーストラリアくらい違う!
広島市と北広島市くらい違う!

で、驚きの事実に打ち震えてると、カランコロンと扉が開いて、
一昨日も昨日も来店してた大常連のおばちゃん登場。
颯爽とカウンター隅の自分の指定席に陣取って、
バッグを隣の椅子に置いたと同時に「マスター。ハンバーグ!」
で、マスターの返しがかっこいい。「ごめん。売り切れ。」

と、ここで、
おばちゃんから飛び出たセリフが冒頭のやつ。

なんだよ。マスター!憎いなあ!
舞城王太郎じゃないけれど、好き好き大好き超愛してる。
マスター大好き!愛してる!
タガログ語でマハルキタ!

あのマスターが、あのマスターが、
たかだか3日間連続で通っただけのこのちっぽけな私を、
大常連のおばちゃんを打っ棄ってまで、
こっそり贔屓してくれた!

人生はこれがあるから最高だ。
辛いことや悲しいことは多いけど、
こんなことがあるから生きていける。

旨い手こねハンバーグとサラダ増量、
そして、こっそり実行に移す依怙贔屓は人を幸せにする。

寒い日がまだまだ続きます。
みなさん、どうぞお風邪などひかれませんように。

いつもありがとうございます!